夢の濃度を上げるポストロック

マイナー・ビクトリーズ『マイナー・ビクトリーズ』
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ALBUM
マイナー・ビクトリーズ マイナー・ビクトリーズ
スロウダイヴのレイチェル・ゴスウェル、エディターズのジャスティン・ロッキーと彼の兄弟でフィルム・メイカーのジェイムス、そしてモグワイのスチュアート・ブレイスウェイトというメンバー構成を聞いただけでも、思わず胸が高鳴ってしまう、マイナー・ビクトリーズ。昨年からティーザー映像やMVを通じて、そのサウンド世界を垣間見せてきた4人の作品が、ようやくアルバムとして完成した。それぞれが所属するバンドの音の色調や音楽的なバックボーンを、丁寧に、何層にも折り重ねたサウンドは、一見澄んだ美しさがありながら、そのヴェールをめくってもめくっても、凶暴な獣が息をひそめて舌なめずりをしているようなカオスと迷宮感がある。レイチェルのひんやりとした陰りがあるヴォーカルがポップなメロディに深い陰影を与えているのも心地よい。何とはなしに流れていく時間の中で聴いているとすんなり染み込んでくるが、身体の芯には甘美な毒が回ってくるような感じがする。この静謐で美しい武器は、彼らならではのものだろう。サン・キル・ムーン(マーク・コズレック)とのデュエット、“フォー・ユー・オールウェイズ”がまた絶品。(吉羽さおり)
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