ビートがグルーヴし始める時

デス・グリップス『ボトムレス・ピット』
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ALBUM
デス・グリップス ボトムレス・ピット
昨年の『ザ・パワーズ・ザット・ビー』を最後に解散したはずが、急遽活動再開となったデス・グリップスの新作。前作後半部の『ジェニー・デス』は、自殺へと向かわざるをえない衝動をMCライドの雄叫びとこのバンドの音で綴るという、究極のデス・グリップス作品だったため、確かにやり尽くした感じはあった。しかし、またモチーフが湧いてきたということなのだろう。今回は外部への徹底した拒絶感を表現するというこのバンドの定番テーマで、こうした敵意は、いい暮らしを夢見ている交際中の勘違い女や、自分たちのファンにまで向けられる。果てはマイケル・ジャクソンのペットのサルのバブルスまで登場し、「バブルス(のようなやわな存在)はこのジャングルで埋められる」とまで宣言してみせる。特徴的なのは、今回は音がより音楽的になっていることで、時々ふと今のキング・クリムゾンに似ていると感じる瞬間もあり刺激的だ。ライドがフロウを聴かせる一幕もあり、今後に期待を持たせる圧巻の内容。未収録曲だが、プライマスのレス・クレイプールが参加し、ネット公開された“モア・ザン・ザ・フェアリー”はその先駆けか。(高見展)
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