これはいい。英国フォーク・ロックのソフィスティケイトされた小粋な良さを感じる。
L.A.サラーミはUK出身、ナイジェリア系のシンガー・ソングライター。ジェイク・バグやジェイムス・ベイを輩出した〈バーバリー・アコースティック〉に選出されて一躍注目されるようになり、これが1stアルバムである。
ニール・ヤングやニック・ドレイクやジョニ・ミッチェルが引き合いに出されるが、ニールほど泥臭くはないしニックほど内省的でもなく、ジョニほどクールでもない。ややディランに似ているが、もっとスマートで洗練されているし、自然体で無理がない。声は甘く若々しく魅力的だし、楽曲もポップ。音数は少なく、ときおり奇妙な展開を見せるものの、音楽スタイルとしてはオーソドックスで、それほど凝ったアレンジや演奏が聴けるわけではないが、歌やサウンドの端々に煌めくような才気が満ちていて、耳をそばだてずにはいられない。深い叙情を感じさせながらも、決して重くなりすぎないのもいい。ディランの歌詞を引用したりするセンスも嫌みがない。要注目の新しい才能の誕生だ。(小野島大)