10月28日にバンドの公式フェイスブック上でライヴ・ストリーム・イヴェントを行い、その直後に全世界で告知なしでサプライズ・リリースされたアヴェンジド・セヴンフォールドの7枚目、『ザ・ステージ』。アルバムはその表題曲で幕を開ける。ファースト・シングルでもある“ザ・ステージ”は物々しくシアトリカルなイントロではじまり、激しいドラミングとギターと歌でエモーショナルな物語を紡ぎ上げ、8分を超える。曲の主題とドラマを何倍にも増幅させる、長尺の泣きのギター・ソロを盛り込んだクラシカルなメタル・サウンドだ。これがシングルとは、と驚くが、続く曲もいずれも濃厚。ブラスが入った“サニー・ディスポジション”、凄まじい熱量の叫びが壮大なアンサンブルを生む“クリエイティング・ゴッド”、また荘厳なストリングス隊と絡む“ローマン・スカイ”など、ラストの“イグジスト”（15分にわたる曲）までが叙事詩のごとく紡がれていく。事前のプロモーションなしで、古典的とも言えるロック・アルバムの体をなし、またこだわり抜いた作品を世に放った。バンドの自信と問いかけを感じる1枚だ。（吉羽さおり）