現在のDragon Ashがすごくいい状態にあることが伝わってくる。夏フェスを席巻したアンセム“Velvet Touch”に続くシングルは、“繋がり”について正面から全編日本語詞で歌ったミディアム・テンポのナンバー。しかし、サビでは一転、激しくクラッシュが打ち鳴らされ、力強い大きなメロディが待っている。ダンスフロアで軽快にステップを踏むのではなく、一歩一歩楔を打ち込むように歩みを進めていく、そんな曲。そして、この曲が伝えてくれる最も重要なこと、それは現在のDragon Ashが聴き手に語りかけようとしていることだ。鎧を脱いだ言葉がそのままKjの声によって歌われる。それは真っ直ぐこの曲を聴く人へと向かっている。数々の時代の言葉を生み出してきたDragon Ashが、その経験を踏まえた上で≪そうさ一人じゃない≫と歌う。こんなにも距離感の近いDragon Ashは久しぶりだ。

音楽を聴くということは、やはりその作り手との対話なのだと思う。会ったこともない人だからこそ語り合うことができる。そんなポップ・ミュージックのマジックを思い出した。（古川琢也）