オルタナティヴロックの復権について、最近よく考える。オルタナティヴはオルタナティヴであるからして、カウンターであるべきだとは思うが、それにしても日本のバンドシーンにおいてもっと幅を利かせてほしいと思う今日この頃だ。というか、日本のオルタナバンドは間違いなく海外のほうが正当な評価を得ている。NUMBER GIRLが、解散から14年の月日が経過した今もなお後進のバンドに多大な影響を与えているのは、彼らが真の意味でオルタナティヴであるということを、音楽性においてもマインドにおいても貫いていたからだ。2年2ヶ月ぶり、3枚目のフルアルバムをここに完成させた彼女たち、tricotも2010年の結成から自らの「オルタナ美学」を頑なに作曲に形象化している。全13曲、変拍子が牽引する目まぐるしい展開を繰り広げながら、キメの快楽を提示し、グッドメロディを解放する。そして、刹那的な色気にも富んでいる。再始動を果たした宮本菜津子率いるMASS OF THE FERMENTING DREGSもそうだが、譲れないものをオルタナに託しているバンドの音と歌は本当にシビれる。(三宅正一)