2014年にLAで結成されたエレクトロ・ポップ・バンドのレイニーが、幾つかのEPを経て完成させたデビュー・アルバム。ポール、レス、ジェイクのメンバー3人は最近までアパートで共同生活しており、多くの楽曲がその狭い部屋で生み出されたという。確かに歌心の広がりが大きなスケール感を描き出してはいるが、トラックの方は手作り感が随所に窺えるもので、そのバランスがとても現代的である。昨年はトロイ・シヴァンのUSツアーに帯同することでより大きな認知を得ることに成功した。初期の楽曲をYouTube上に公開するなり、彼らには大手レーベルから立て続けに連絡が来るようになったという。当時はアップリフティングなEDMから繊細で情緒的な歌を備えたサウンドにトレンドが変化した時期だったので、レーベルもそういうグループを探していたのだろう。ポストEDMのエレクトロ・ポップに普遍性を見出すところから始まったバンドだということだ。本作は2017年に入って公開された楽曲を中心に構成されており、サマソニでは生演奏主体のじっくりとオーディエンスを巻き込むライブを見せてくれるはず。 （小池宏和）