前作『シフォン主義』に続く新作は、『ハイファイ新書』。ライブではすでに披露されている曲も多く収録された本作は、25世紀も、心霊現象も、課外授業の恋愛も、学級崩壊も、同一線上に描く妙な異物感はそのままに、バンドの塊が強固になった流麗なアンサンブルが実に喉越しよく、心地いい。なんといっても “バーモント・キッス”がすごい。本作のラストを締めくくる、予想しなかった荘厳なサウンドスケープにはド肝を抜かれたが、≪わたしもうやめた 世界征服やめた 今日のごはん 考えるのでせいいっぱい≫≪もうだめだ その日暮らしはいやだ ラブレター 渡せないのも今日いっぱい≫などの言葉は、すごくリアルだし、パラレルワールド化した現代だからこそ、よりリアルに響く。それをズバ抜けたポップ・センスと、無機質でキュートな声でさらっとやってしまうシュールさは、とても現代的だし、批評的だ。
ジャケットの「33:21」は、収録時間を示すのか、品番の逆読みか……など思索するも真意は不明。しかし、こんなに翻弄されるのが心地いいバンド、他にいない。確信犯的快作。(岡崎咲子)