独自の香りで放つエール

KANA-BOON『バトンロード』

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KANA-BOON バトンロード
KANA-BOONならではの風味として挙げられることは様々だが、特筆すべきポイントのひとつは「少年性」ではないだろうか。何を描いたとしても不思議と醸し出される瑞々しさを、このバンドは持っている。“バトンロード”は、まさにそういう面が発揮されている曲だ。失敗ばかりが積み重なっていく毎日から生まれるはずの美しい何かにスポットを当て、その人にしか歩めない人生を心から讃えるこの曲は、歌詞に少年が登場するわけではないし、「僕」という言葉も使われていないが、耳を傾けながら多くのリスナーは「少年の姿」を思い浮かべるだろう。このような印象になるのは谷口鮪(Vo・G)の声質によるところも大きいが、いずれにせよ容易には真似のできないオリジナリティに繋がっている。譜面で表し得るものが音楽にとって大切なのは言うまでもない。しかし、自ずと漂ってしまう雰囲気という抽象的事柄も、ロックバンドにとって重要極まりない要素となる。そういう独自性の種を丁寧に育てていることも窺われるこの曲は、KANA-BOONだからこそ作れる、柔らかに突き刺さるエールソングだ。(田中大)

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