孤高などと、簡単に言うなかれ

GRAPEVINE『ROADSIDE PROPHET』
発売中
GRAPEVINE ROADSIDE PROPHET
彼らにとってデビュー20周年という世間一般な節目と、それに目配せをして音楽制作をすることはまったくもって意味を持たないと証明するような新作だ。もっと言えばベテラン「だから」とかベテラン「なのに」とか、そういった言前を一切必要としていない。GRAPEVINEは一貫して、徹底的に、自らの創造性に歯向かわない。必然として彼らの作品はどれも対外的な要因で漂白され、消失してしまった何かを感じさせない。流行り廃りや懐古主義に惑わされることもない。完全には踏襲できないとどこかで悟ったうえで、だからこそ誰にも真似できないやり方で昇華するルーツ色の強いブラックミュージックやアメリカンロック、あるいはカウンターとしてのサイケやニューウェイブ。それらを飲み込んだうえで、同時代性に富みながら独立したバンドサウンドと、田中和将(Vo・G)が描く不可侵な手つきで心理と真理の行間をこじ開けるような歌詞と、誰しもを拒まないメロディを形象化してきた。あるいは本質的な意味において。本作はその最新形と普遍性をつぶさに堪能できる。当然のように、傑作。(三宅正一)
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