ドミニクがLAに移住、本作の制作はロンドンとLAの二カ所にわたって行われ、また様々なアーティストたちとコラボすることで、多様な視点と幅広い表現を獲得したという。
確かに前作と比べ、クラブの薄暗い空間から抜け出したような開放的で明るいサウンドが聴ける。ヴィンテージ・アナログ・シンセを使った音色も太くて温かみがある。だが前作の大きな魅力でもあった翳りを帯びた内向性は薄れ、明るく開放的な空気感と引き替えに失ったものは少なくない。多様性に富んだ荒々しいサウンドは活気があるが、やや散漫にも映る。つまり前作と比べると全体のバランスやまとまりが崩れているように思える。ジェイムス・ブレイク参加曲や、エスノ・トライバルな曲など個々の楽曲には光るものがあるだけに惜しい。 (小野島大)