思わずスタカンかと言いたくなる先行ナンバー“How Soon the Dawn”で期待値を上げまくったジェイク・バグの4枚目。デビュー5年で4枚だから順調この上ないのだが、ある種の成熟を強烈に感じさせながら、それでいて瑞々しさを少しも失っていないところがすごい。ナッシュヴィル録音、ブラック・キーズのダン・オーバックやザ・メンフィス・ボーイズをはじめ地元のミュージシャン等を起用し、大物カントリー・シンガーの娘ノア・サイラスとデュエットするなど、ここならではのテイストもたっぷり乗っけらてはいるのだが、根本にあるジェイク節は濃厚だ。
“Southern Rain”の描写力、“In the Event of My Demiseのドラマ性、ストリングスを効果的に使った“The Man On Stage”やリズムを強調した“Burn Alone”などバラエティ豊かでありながら、それがジェイクの世界に穏やかに収斂していくスケール感が今回はとくに印象的。またニック・ドレイクの遺伝子を確認させるタイトル曲“Hearts That Strain”の美しさは特別な一曲の誕生を告げている。 (大鷹俊一)
拡大するスケール感
ジェイク・バグ『ハーツ・ザット・ストレイン』
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