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この曲にはKing Gnuの本能を感じる。バンド音楽の固定観念をひっくり返しながら、どうしようもなく「これこそバンド音楽なんだ」としか言いようのないカタルシスを生み出してしまう、あの覚醒感。今この時代を生きるリアルを噛みしめたうえで、己の命の無垢な輝きを鷲掴みにして高らかに掲げてみせたいと願う、崇高な野心。この曲にはそれらが結晶化している。都市の喧騒の片隅から最果てへの逃避行を企てる恋人たちのような、カオティックな猥雑さの中に宿る儚い煌めき。この理不尽極まりない世界にいて、それでもなお「自分の人生」ってものを生き抜いて大声で笑ってやろうとする大胆さ……「これこそがKing Gnuだ!」と大声で叫びたくなるような痛快なアンセム。この曲がライブハウスで、スタジアムで、そして街角で鳴り響き、歌われる、そんな光景が見たい。繰り返される《最悪で最高♡》というフレーズを、歪できれいな一人ひとりの人間が声を合わせて歌う、そんな命の絶頂みたいな光景が早く見たい。(天野史彬)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年10月号より)
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