ロックの肉体性と瞬発力が照らすもの

THE ORAL CIGARETTES『BLACK MEMORY』

2017年09月27日発売

THE ORAL CIGARETTES BLACK MEMORY
武道館で告知されていた映画『亜人』の主題歌であり、各地夏フェスでも披露されている“BLACK MEMORY”。突き飛ばすようなビートと耳を劈く鋭いギターリフ、メンバー一丸の《Get it up》という熱いコーラスで転がり出すロックンロールは、映画監督とアイデアを出し合いながら制作されたという。しかし《僕の瞳が派手に落とすのは/崩壊と希望の二層を既に離した/記憶ただ》というフレーズは、極めてプライベートな皮膚感覚を狂おしく焦燥感にまみれたロックに乗せて放つ、オーラルらしい視界が鮮やかに投射されている。時代に迷いながらも、自らの肉体を通して音を出すロックバンドの手応えそのものが生きる道を照らす、そんなギリギリの危うさこそが魅力的に映るナンバーだ。一方、カップリングの“Flower”は、《曖昧な夢も希望も乗せ僕ら/忙しない街へと繰り出した》と歌われる、解放的で包容力に満ちたサウンドが印象深い。あの武道館のラストと地続きになったオーラルの物語として、この曲のヴァイブはとても合点がいくものだ。もう一曲の“接触”と共にライブ披露に期待したい。(小池宏和)

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