本作のテーマは「全ての女は女優である。ならば人生の主役の座は誰にも譲るな。」。“FAKE”や“UNDERSTUDY”のような明確に演劇をテーマにした曲と生活のワンシーンを切り取ったような曲の両方を取り入れた構成は、私たちが社会と関わる時、演じざるをえないのだということを自覚させる機能を果たしている。50~70年代を主に参照した甘美なサウンド、憂いを含んだハスキーボイスや、匂いや湿度をも感じさせるような情景/心象描写の根底にあるのは、「労働の苦しみの中から愛や希望を見出す」という精神性としてのブルース。現代に蔓延る空虚、諦念や悲哀を当時のそれと結びつけた時、音楽は時代を超え、救われる人の数ももしかしたら増えるかもしれない。彼女はそんなアートの魔法を信じている表現者のひとりなのではないだろうか。文脈を敬い、「今」を真摯に見つめることのできる人だからこその、ポップミュージック集。(蜂須賀ちなみ)
時代を結ぶ糸となれ
luki『ACTRESS』
発売中
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本作のテーマは「全ての女は女優である。ならば人生の主役の座は誰にも譲るな。」。“FAKE”や“UNDERSTUDY”のような明確に演劇をテーマにした曲と生活のワンシーンを切り取ったような曲の両方を取り入れた構成は、私たちが社会と関わる時、演じざるをえないのだということを自覚させる機能を果たしている。50~70年代を主に参照した甘美なサウンド、憂いを含んだハスキーボイスや、匂いや湿度をも感じさせるような情景/心象描写の根底にあるのは、「労働の苦しみの中から愛や希望を見出す」という精神性としてのブルース。現代に蔓延る空虚、諦念や悲哀を当時のそれと結びつけた時、音楽は時代を超え、救われる人の数ももしかしたら増えるかもしれない。彼女はそんなアートの魔法を信じている表現者のひとりなのではないだろうか。文脈を敬い、「今」を真摯に見つめることのできる人だからこその、ポップミュージック集。(蜂須賀ちなみ)