刹那と永遠を閉じ込めた3分間

luki『泣いたのは数秒だった』
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luki 泣いたのは数秒だった
昨年にリリースされたミニアルバム『新古今洋歌集』は、シンガーソングライター・lukiの重要な音楽的ルーツであるブルースの古典に立ち返りながら、彼女の文学性と肉体表現のフィルターを通過したカバー集になっていたという点で、耳の肥えたリスナーをも唸らせる作品になっていたと思う。久々のオリジナル新曲となる“泣いたのは数秒だった”は、70年代ソウル風の優しくも力強いメロディに乗せて、離別の余韻に晒される心象を描き切ったナンバーだ。まさに茫然自失となって時の流れの感覚さえ狂ってしまうような痛ましい体験。そこに残酷なまでのリアリズムをもって切り込み、決定的な瞬間と永遠とも思えるような心の空隙を活写してみせた筆圧高い歌詞が凄まじい。歌唱そのものは、敢えて激しい感情の揺らぎや昂りを抑えたパフォーマンスになっているからこそ、孤独な時間の牢獄に閉じ込められた思いのストーリーがありありと伝わってくるのである。鋭利な知性と生々しい感情表現が共存する、lukiの真骨頂だ。(小池宏和)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)


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