この爽快さ、テンポ感。go!go!vanillasがひとつ殻を破ったようなハンパないふりきれ具合が清々しい“SUMMER BREEZE”。そして元来持っているポップ感を増幅させながらミドルテンポの心躍るロックンロールを聴かせる“スタンドバイミー”。そんな2曲が並ぶ両A面シングルがリリースされる。彼らの中にルーツとしてしっかりと根付いているロックンロールサウンドの中でも、とびきり陽性のエネルギーを持つ部分にスポットを当て、迷うことなく放出したような潔さに、バンドがさらに大きく羽ばたこうとしている意志を感じる。とにかくキャッチーだが、根底には決して覆ることのないロック愛が感じられるのは、さすがバニラズ。“SUMMER BREEZE”の《ギスギスすんなよ今日は行こう 行こうよ》という歌詞などは、つべこべ言わずに音に飛び乗れと言っているようだ。

また今回のシングルでは、カップリングの“Penetration”も聴きどころのひとつ。バニラズらしいヴィンテージ感漂うギターロックサウンドをしっかり聴かせ、この成熟感にも彼らの変化と進化がはっきりと感じ取れる。（杉浦美恵）