ファースト・アルバムというのは、アーティストにとって初の経験となるだけに、十分な制作環境が整えられず、不満を残す内容になってしまうケースも少なくない。メガデスの1作目である本作もその典型と言われ、2002年にも1度リマスター版が出し直されている。その時もサウンドがドライに引き締められたが、今回は新たに発掘された素材を使用してのニュー・ミックスとのことで、音像がより豊かな立体感を持つに至った。この種の改定作業が、オリジナルを熱心に聴き込んできたファンにどう響くかは未知数だが、個人的には、デイヴ・ムステインがメタリカを解雇された恨みをエネルギーにして爆発させた表現衝動を、グレードアップしたジャケットのアートワークと併せ、最良の形で再現していると思う。歌い直すことによりピー音を回避した曲も正解。（鈴木喜之）
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『rockin'on』2018年7月号
