聴いているとひたすらニヤニヤしてしまう。とてもユニコーンだからだ。大変にユニコーンだからだ。すさまじくユニコーンだからだ。そしてそのユニコーンらしさが、「そうしようとした」結果ではなく、「ただそうなってしまった」ものであることが、音を聴けば明らか。という事実が、何よりすばらしいし、今やる意味があったって証拠だと思う。全員が曲も詞も書く。全員が歌う。でも自分の曲を自分が歌うと決まっているわけではない。歌詞で言いたいことなんかない。でも本当に何にもないわけでもない。音楽で表現したいことは、「音楽はおもしろい」「おもしろきゃなんでもいいじゃん」「何やってもいいじゃん」ということだけ。そんな元々ヘンなバンドだったユニコーンが、09年においても見事にヘンだった、自由だし型破りだしアナーキーだしラジカルだった、ということ。それってすごいことだと思う。あと、日本のロックの巨星=奥田民生が、このバンドに戻ると昔と同じく「他のメンバーよりちょっと多めに歌って曲を書いている人」でしかなくなるのも、ユニコーンが何であるかを物語っている。(兵庫慎司)