早いもので2009年のユニコーン再始動から10年目を数えるが、再始動当時に取材した際の奥田民生の「60までかどうかはわからないですけど、やったりやらなかったりすればいいわけで。ずーっと続けてるバンドとは違うやり方ができるし」という言葉が、一度解散した過去も踏まえた上での「ユニコーンのあるべき姿」を言い当てていたことを改めて思い出す。生き急いで一本道を突っ走るより痛快で爽快な安心感が、今のユニコーンの音楽における最高のエッセンスとして機能している――ということが、カセットテープ仕様の『エコー』以来約2年ぶりとなるシングルの表題曲“OH! MY RADIO”からも伝わってくる。

ロックとバンドのワクワク感を凝縮したABEDONのメロディと楽曲。《もう すぐには まわりにダマされないが／今夜も 魔法にダマされている》と大人のタフネスの合間からピュアな音楽愛を覗かせる奥田民生の歌詞。そして、「ユニコーン史上初」の民生＆ABEDONツインボーカルの突き抜けるような開放感。音楽の理想郷を1曲で描き出すような、でっかいロマンに満ちた名曲。（高橋智樹）