いろんなこと、あったよね

ブルース・スプリングスティーン『アルバム・コレクションVol.2 1987-1996』
発売中
BOX SET
ブルース・スプリングスティーン アルバム・コレクションVol.2 1987-1996

ロックンロール界のボス、ブルース・スプリングスティーンの全キャリアを振り返るリマスター・ボックス・シリーズの第2弾である。今回収録されるのは、87年の『トンネル・オブ・ラヴ』を皮切りに、95 年までに発表されたオリジナル・アルバム全4作+『MTV UNPLUGGED〜プラグド』のライブ盤+2枚のEP。計7作だ。
 
84年の『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』までの栄光期を収めた第1弾と比べると、この頃のブルースは、いろんな意味で「立て直し」の時期だった。ハリウッド女優と結婚→あえなく離婚→からの、生涯の伴侶、パティとの再婚。あれほど仲良しだったEストリート・バンドの崩壊↓ソロでの活動→からの、より絆を深めての再結成……人生の大切なものを手にするために、人は、一度なにかを失い、傷つかなくてはいけないのかもしれない。スプリングスティーンを聴くことで、人は、そうやってほんの少しだけ賢くなれる。

この手のボックスのお楽しみは、豪華パッケージに加え、ある期間の作品をまとめて聴き直してみて、「点」ではなく「線」の流れの中であれこれ再発見できることだと思う。今回、個人的に一番の感動だったのは、95年の『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード』を久々に(しかも、素晴らしいリマスターで)聴き直して、実はそのサウンドの情景的な広がり&深みが、次の10年間への青写真だったんだな、と気づかされたこと。当時は「こんなもん、劣化版『ネブラスカ』じゃんか」と思っていたけど、そんなことは全然なくて、聴けば聴くほど名盤だった。ごめんなさい、ボス! 以後気をつけます、ボス!

なお、アナログではなくCD仕様ボックスで発売されるのは今のところ世界中で日本だけ、しかも完全限定生産とのこと。気になる方はお早めに。(内瀬戸久司)



『アルバム・コレクションVol.2 1987-1996』の詳細はSony Music Japan Internationalの公式サイトよりご確認下さい。

ブルース・スプリングスティーン『アルバム・コレクションVol.2 1987-1996』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」8月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


ブルース・スプリングスティーン アルバム・コレクションVol.2 1987-1996 - 『rockin'on』2018年8月号『rockin'on』2018年8月号
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