ベン・フォールズ、活動15周年を記念してのベスト盤。15年、ということでソロ名義だけでなく、ベン・フォールズ・ファイヴ（94年〜99年）時代から、ソロ第１弾『ロッキン・ザ・サバーブズ』（01年）から現在までの楽曲がまんべんなく選ばれた。新曲も１曲、そして懐かしの“金返せ”（BF5）の日本語バージョンに、最新３rdアルバムの“ヒロシマ―ステージからまっさかさま―”が新たに日本語バージョンで録音されたりと、ユーモアたっぷりのチャーミングな曲も収録された。

ひとりのアーティストのベスト盤として、バンド時代から遡ってまとめられることは珍しい。そしてロックなピアノマン／バンドマンという存在から、希代のポップスを生み出すソングライター／アーティストへという変遷がよくわかる作品でもある。シンプルなことをシンプルに聴かせるのはもちろん、音楽的にも、あるいは感情的にも複雑で細やかなことをシンプルに聴かせることもできる。彼はそういう音楽をずっと、（さりげなく）挑戦的に奏でてきた。このハングリーで、ストイックな音楽はこれからもスケールアップしていくのだと、改めて思う。（吉羽さおり）