飽くなき挑戦、驚きと感動

デイヴ・グロール『プレイ』
発売中
SINGLE
デイヴ・グロール プレイ

なんとデイヴ・グロールが、31分間のドキュメンタリー映像『プレイ』を公開し、作中で23分間のインスト曲を発表した。デイヴがひとりで全楽器を演奏し、全パート23分間を各1テイクで録音している。彼は楽譜が読めないので、全パートを23分間も記憶し、間違わずに演奏できるのか?に挑戦したということにもなる。「俺はいつだって前進し続けたいし、学び続けたい」と彼は語っている。これは、自分の娘達が、バンドを作り上手くなろうと練習しているのを見たのがきっかけで思いついたというのだから更に素敵なことだ。だから、映像冒頭では、子供達が楽器を演奏できる場所を取材していて、更にネット配信版では、どうすれば我々もこうしたボランティア活動に貢献できるのかについても紹介されている。また、楽譜や、楽器ごとの映像も公開されていて我々も学べるのだから、完璧すぎる。

今回、ここまで長い曲に挑戦したのは、デイヴの愛するラッシュの“2112”のようにエピックなロックを自分でも作ってみたかったからだろうか? ディストーション・ギターが幾重にも重なりクライマックス的なメロディに突入する場面は聴きごたえもあるし、かと思えば、プログレ的にエクスペリメンタルな展開が続くシーンはスリリングだ。中盤ではテンポを変え、最後は、ロックンロール的なエンディングに突入する。ボーカルもないし、ギター・ソロもない長尺曲であり、デイヴがこれまでに行かなかった領域に踏み込んでいるのだから興奮しない訳がない。それでいて楽曲全体として完成度が高いし、実験的で新鮮でありながらも決して独りよがりになっていないのだ。23分の壮大な旅の中で、デイヴのソングライターとしての才能に改めて感動するし、ひとつひとつの楽器を演奏する喜びまで体感できるような作品だ。(中村明美)



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デイヴ・グロール『プレイ』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」10月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

デイヴ・グロール プレイ - 『rockin'on』2018年10月号『rockin'on』2018年10月号
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