まず、“Water Lily Flower”に胸を締めつけられた。イントロから続く美しいギターリフ。それと呼吸を共にする各楽器の音色。《咲いた鼓動がマーチを刻んでいる》というサビ冒頭での端正な言葉と、視界を一気に切り拓くようなバンドサウンド。J-POPの定型的展開を逸脱しながら、やや哀しげに、しかしドラマティックに魅せる構成には、要所要所で登場するコーラスワーク、最後の最後に加わるストリングスも一役買っている。全編にわたって溜息の出るほどの美しさ。この曲は今後フジファブリックの新たな名曲として名を馳せていくことだろう。

――と、少々語りすぎてしまったが、もちろん他の収録曲も聴き逃してはいけない。全5曲はどれも異なる色を纏っていて、『FAB FIVE』というタイトルを見た時、まるで戦隊ヒーローみたいだと思ったほどだった。季節柄なのか、ここ最近“若者のすべて”がメディアで取り上げられがちだったが、それをきっかけにフジファブリックを知った人も本作をぜひ聴いてみてほしい。現在進行形の彼らが見せる5つの表情に、きっとハッとさせられるはずだから。（蜂須賀ちなみ）