生々しく、壮大な抒情詩、第2章

降谷建志『THE PENDULUM』
2018年10月17日発売
ALBUM
つくづく真っ直ぐな音楽家なのだなと思う、降谷建志という人は。それは真摯と言い換えることができるし、最上級の敬意を込めて愚直と言うこともできる。そして、そのような音楽人生を彼が送れているのは、彼が頑なに音楽創作によってもたらされる名状しがたい快楽を信じ、あるいは苦悩から逃れることなく、さらにたゆまぬ努力を続けているからだ。Dragon AshのKjというバンドマンとしての像は、そこに内包されている大いなる一部である。Dragon Ashのメンバーとして揺るぎなく充実したバンドマン生活を送れているからこそ、彼はソロ名義で楽曲制作というライフワークをフレッシュなままアウトプットするようになった。この2枚目のソロアルバムはギターもドラムもベースもプログラミングもすべて自らの手で演奏し、構築するという方法論をさらにブラッシュアップさせ、ブラスなどゲストミュージシャンも交えながら、より生々しくもありながら壮大なサウンドプロダクションを結実させている。やはり日本語詞の楽曲に顕著だが、ポップとも捉えられるグッドメロディを解放しているのも印象的だ。(三宅正一)