王座奪取した一枚

メタリカ『メタル・ジャスティス(リマスター・デラックス・ボックス・セット)』
発売中
BOX SET
メタリカ メタル・ジャスティス(リマスター・デラックス・ボックス・セット)

これももう30周年か。メタリカが88年にリリースした『メタル・ジャスティス』が去年の『メタル・マスター』に続くリマスター・リイシュー・シリーズ第4弾としてデラックス・ボックス、3CDエディション、リマスター1CDの3種がリリースされる。惹句に〈一番聴きたかったリマスター盤〉とあるが、同意。前回のリマスター&レア音源集も凄かったが、今回はさらに濃い。

『メタル・ジャスティス』は彼らをスラッシュ・メタルという地域限定アイドルからロックのメインストリームにのし上げた。デビュー当時から応援したりメタルへの忠誠を誓うピュアなファンの中には異論もあったようだが、別サイドの人間にとって、このわかりやすさとテクニック&テンションに裏付けられたアプローチは最高に魅力的であった。

個人的にはグランジの先駆けとなる連中の影響から、より激しい音をやたらと求める気分にこれはまさにジャストだった。メロディ的に親しみと練度を増しているからポピュラリティが得られやすかったし、彼らの側も“ワン”のMVで象徴されるように敷居を下げ、より開かれた姿勢で次々と仕掛けてきた。

久しぶりに聴くと、その鮮度は少しも落ちてはおらず、たしかにスピード感は、その後、加速、重圧化をたどる各種メタルからすれば時代を感じさせはするが、逆にそれが古典としての貫禄と深みになっている。オープナーの“ブラッケンド”からタイトル曲の“・・・アンド・ジャスティス・フォー・オール”、“アイ・オブ・ザ・ビホールダー”、“ワン”への前半の流れは完璧で、今も人気の高い楽曲の際だった完成度が耳に鋭く突き刺さってくるが、今回のリマスターではエッジの切り口をさらに鋭くした印象が強く、またギターの鳴りの奥行きも深まっていて全体の立体感が高まっている。これは楽曲の構造からしても効果的だ。

悩ましいのは3種のどれを選択するかで、〈CD11枚+アナログ3種(計6枚)+DVD4枚〉という超豪華なデラックス版が脳裏にちらつく
が(マニアは迷わずこれか)、かといって本体のみの1枚というのも寂しい。ここは本体にライブやデモの編集盤2枚をセットした3枚組を押しておきたい。これだけでも89年ツアーの模様や“・・・アンド・ジャスティス・フォー・オール”を作る過程など充分、貴重で魅力的な音源が揃っている。当時のライブを聴いていると89年代々木競技場での来日公演で女神像が崩れ落ちるシーンが浮かんでくる。本当に凄い熱量が渦巻くライブだったが、その興奮を思い出させるセットの登場だ。(大鷹俊一)



『メタル・ジャスティス(リマスター・デラックス・ボックス・セット)』の詳細はUNIVERSAL MUSICの公式サイトよりご確認ください。

メタリカ『メタル・ジャスティス(リマスター・デラックス・ボックス・セット)』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

メタリカ メタル・ジャスティス(リマスター・デラックス・ボックス・セット) - 『rockin'on』2018年12月号『rockin'on』2018年12月号
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