結成20周年という節目でリリースされる9thアルバム。バンドの、というだけではなく、SUGA（Vo・G）、JOJI（B・Vo）、YU-KI（Dr・Cho）という3人自身が素直に解放され、言葉や音に落とし込まれているような印象を受ける。ゴリゴリのメロディックパンクも、スウィートなThe Cardigansの“Carnival”のカバーも、たっぷりと（しかもまっすぐでロマンティックな）日本語詞が盛り込まれた“Missing Piece”も、たくさんの仲間たちの意味と愛のこもったコーラスも。禁じ手も出し惜しみもない。今やりたいこと、できることをすべて詰め込むんだ！というような、ギラギラした勢いを感じるのだ。メンバー一人ひとりの音楽性や人間性の結晶という側面から見ると20周年らしいが、dustboxとしては新たなはじまりの可能性がちりばめられたアルバムになったと思う。彼らが山も谷も乗り越えられてきたのは、今作に表れている引き出しの多さ、ピュアなメロディ、ポジティブな精神があったからだ。聴いていると、もっとおじさんになってもステージに立ち続ける彼らの姿がイメージできて、嬉しくなる。（高橋美穂）