憂鬱だらけの世界を面白がる戦い

ヤバイTシャツ屋さん『スペインのひみつ』
発売中
SINGLE
ヤバイTシャツ屋さん スペインのひみつ
“無線LANばり便利”を聴きながら、《無線LAN LAN LA LAN》と叫ぶのがあんなにも楽しいことが証明しているように、ヤバTは何気ない言葉の魅力を発見させてくれるバンドだ。このような部分は、今作のリード曲“癒着☆NIGHT”でも発揮されている。大人の世界のヌメヌメとした機微を含んでいる「癒着」という言葉と、その音の響きを活かしながら、20代半ばの人間の多くが体験するはずのことを描くタッチの切れ味が、とにかく半端ではない。「NHKフレッシャーズキャンペーン2018」のイメージキャラクターに抜擢された際に書き下ろした“案外わるないNHK”や、こやまの小学生時代の特殊な思い出を刻んでいる“sweet memories”など、他にも秀逸な曲が並ぶ今作を聴くと、世の中を面白がるためのヒントをたくさん得られる。「面白がる」というのは、非情な現実に負けないために有効な手段のひとつだ。そういうファイティングポーズが実に粋だから、ヤバTは「笑える」「かっこいい」「深い」というような、相反するようにも思える要素を兼ね備えたロックバンドになれているのだと思う。(田中大)
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