プレイもセンスもマルチな豪州発の新鋭

タッシュ・サルタナ『フロー・ステイト(ジャパン・エディション)』
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ALBUM
タッシュ・サルタナ フロー・ステイト(ジャパン・エディション)

オーストラリアはメルボルン出身の女性アーティスト。今夏のサマーソニックへの出演も決定している24歳のホープだ。去年中継されたコーチェラでのパフォーマンスも話題を集めたので、チェック済みというリスナーも多いのではないかと思う。

ギターを構える姿が様になるサルタナ。けれどその実態は、キーボードやサックス、フルート、パーカッションなど20種類近くの楽器を操るマルチ奏者で、ループ・ペダルを使って音を重ねて形作る“一人バンド・アンサンブル”が彼女の真骨頂。コートニー・バーネットやステラ・ドネリーを始め近年同国が送り出す女性SSW達とも異なるDIYなスタイルが特徴で、その音楽性もロックはもちろんサイケやレゲエ/ラテン、R&B、メタルまでじつに多彩。ファルセットも交えて伸びやかに響き渡る歌声も魅力的だ。

本作は、昨年のデビュー・アルバムに新曲やEP収録曲をコンパイルした日本独自仕様。初期の代表曲にして、醍醐味の耳愉しいレイヤー・サウンドを披露する“ジャングル”。オーセンティックなSSW然とした歌心で魅了する“キャント・バイ・ハピネス”や、ブルージーなギター・ソロが映える“ノーション”も聴きどころ十分。が、なかでも白眉は、R&Bやジャズのモダンなフィーリングをたたえた“サルベイション”や“フリー・マインド”だろう。音数を絞り、アンビエント的な音響も効かせながら楽器とビートをオーケストレートしていく鮮やかな手つきは、彼女のトラック・メイカーとしてのポテンシャルも感じられて素晴らしい。もちろん音源からだけでもその非凡さは窺えるが、併せて、NPRの恒例企画「Tiny Desk Concert」に出演時の演奏も彼女独特の空気感が伝わってきて最高なので、ぜひチェックされたい。 (天井潤之介)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。
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タッシュ・サルタナ フロー・ステイト(ジャパン・エディション) - 『rockin'on』 2019年8月号『rockin'on』 2019年8月号
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