ついに真のエミリー節開眼

エミリー・サンデー『リアル・ライフ』
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エミリー・サンデー リアル・ライフ

この10年で文句なしにイギリスを代表するR&Bアーティストとなったエミリー・サンデーの待望の新作。前作『ロング・リヴ・ジ・エンジェルズ』があまりにもストイックな内容となったのでどういう方向性に向かうのかと気になっていたが、大正解の新作を見事に形にしてみせている。

もともとエミリーはUKガレージ系のプロデューサーのノーティ・ボーイと出会ったことからソングライターとしての活動を始め、チップマンク、ワイリー、タイニー・テンパーなどのアーティストのヒット曲を手がけつつ、フィーチャリング・アーティストとして頭角を現し、ソロ・アーティストへの道を切り開いてきた。それだけにイギリスのグライムやクラブ・シーンが出発点となったともいえるし、そんな背景と自身の音楽性を見事に融合させ開花させたのがファースト『エミリー・サンデー』だった。

セカンドとなった前作でエミリーは本格派路線に舵を切るが、それはあまりにも自身のR&BとソウルにUKとかグライムなどといった形容詞がつきすぎたのを嫌がってのことかもしれない。実際、アメリカでも人気が急上昇していたので王道を貫く必要も感じたのだろうし、さらに家族のルーツであるザンジバルからの影響も汲みたかったということもあったのだろうが、いずれにしても、アーティストとしての定評を固める作品にはなった。

それに対して自分が本来やりたいことを思いっきり音にするというのが今回の新作の肝だ。とはいえ、必ずしも原点回帰というものにはなっていないところが素晴らしい。音楽性としては格段に幅が広くなりつつも、随所にいかにもイギリスで育ったアーティストとしての響きが鳴っているところが刺激的だし、それをここまで聴きやすいパフォーマンスとして提供するのが彼女のオリジナリティなのだ。 (高見展)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。
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エミリー・サンデー リアル・ライフ - 『rockin'on』2019年10月号『rockin'on』2019年10月号
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