「何よりも感情が先走ってしまっているような演奏、歌」は、人の心を打つ可能性を秘めている。居ても立ってもいられないままガムシャラに放った音が美しいメロディ、ハーモニー、リズムとなり、ただただ衝動に突き動かされて発した言葉が自ずとメッセージと化していくような様を突きつけられると、我々リスナーの心は理屈を超えた形で熱く沸き立って止まない。ロックが好きな人ならば「この曲、なんかよくわからないけどすごい！」と、解釈が追いつかない形でワクワクした経験があるだろう。ハルカミライも、そういう体験をさせてくれるバンドだ。今作のタイトル曲“PEAK’D YELLOW”も鮮烈極まりない。スピーカーからメンバーが飛び出してきそうなくらいの勢いで展開し、「とにかく生きたいんだ！ 先へ進みたいんだ！ 輝きたいんだ！」と切実さを迸らせるこの曲は、ウジウジした感情の湿り気を瞬時に霧散させ得る熱量を確実に帯びている。彼らがあらゆるライブの現場で、観客をすさまじいエネルギーの渦に巻き込めている理由が、この曲を聴けば誰でもよくわかるのではないだろうか。（田中大）