●セットリスト
1.君にしか
2.カントリーロード
3.ファイト!!
4.俺達が呼んでいる
5.春のテーマ
6.俺よ勇敢に行け
7.ゆめにみえきし
8.predawn
9.October's
10.幸せになろうよ
11.ファイト!!
12.Tough to be a Hugh
13.Tough to be a Hugh
14.星世界航行曲
15.ウルトラマリン
16..Mayday
17.ラブソング
18.世界を終わらせて
19.君と僕にしか出来ない事がある
20.Tough to be a Hugh
21.それいけステアーズ
22.パレード
23.PEAK’D YELLOW
24.QUATTRO YOUTH
25.フュージョン
26.エース
27.ファイト!!
28.ファイト!!
29.宇宙飛行士
30.アストロビスタ
31.ヨーロービル、朝
(アンコール1)
EN1.これさえあればいい(橋本弾き語り)
(アンコール2)
EN2.みどり
EN3.ファイト!!
(アンコール3)
EN4.俺達が呼んでいる
(アンコール4)
EN5.フュージョン
(アンコール5)
EN6.Tough to be a Hugh
(アンコール6)
EN7.エース
(アンコール7)
EN8.これさえあればいい
会場に入ると、高々と張られた黒幕にはバンドロゴ、EMIとTHE NINTH APOLLOのロゴ、そして「HRKMRI IS ALWAYS AT THE LIVE HOUSE」の文字。だだっ広いホールの真ん中にどんと設えられたステージを囲んで、観客がライブのスタートを今や遅しと待ち構えている。そしてBGMが止み、照明が点滅を始める。それに合わせて手拍子が起こり、小松謙太(Dr・Cho)、関大地(G・Cho)、須藤俊(B・Cho)の順にひとりずつステージに登場。そして最後に橋本学(Vo)が飛び跳ねながら現れる。「シャ――ッ! やって来たぜ、幕張ぃ!」。橋本がそう絶叫すると、1曲目“君にしか”の爆音が鳴り響いた。
円形のステージを歩き回りながら歌う橋本。サビでは観客全員の拳が突き上げられ、大音量の掛け声が響く。須藤はモッズコートを着てマイクにかじりつくようにコーラスを取り、上半身裸にウィンドブレーカーを羽織った小松はドシャドシャとドラムを叩く。ふと目を離した隙に、いつの間にか関はステージを下りて客席の柵に上がってギターを弾いている。頭から怒涛の勢いで曲を繰り出していくなか、橋本がメンバーを紹介。ギター、ドラム、ベース、そして「歌! 俺とおまえ! 行くぞ!」。それに応えるようにオーディエンスもいつも以上にデカい声で歌い、拳を高々と突き上げる。
“俺よ勇敢に行け”、“ゆめにみえきし”、“predawn”。1曲ごとに起きる大合唱。そのたびに会場の空気がどんどんほぐれ、なじんでいくのがわかる。須藤がいきなり「発表しちゃっていいかな?」と小松と同居を始めたことを報告し、橋本が「来いよ」と観客の女性をステージに引っ張り上げて「すげえだろ」とそこからの景色を自慢し……どんどん自由度を増していくなか、橋本がついに「360°とかキャパがでけえとか関係ねえ。いつもどおりライブするわ」と宣言する頃には、まさに「ALWAYS AT THE LIVE HOUSE」な空気が完全にできあがっていた。
“星世界航行曲”や“ウルトラマリン”の切ないメロディ、“ラブソング”の壮絶な歌、“世界を終わらせて”での大合唱に、「これがかっこいいんだって!」と橋本が胸を張った“それいけステアーズ”……新旧さまざまな楽曲が重なって、ハルカミライとは何なのかを雄弁に物語っていく。「初めて観た人が、バケモンみてえなバンドだなってめっちゃ褒めてくれんだよ。ちげえんだよ。俺らはバケモンじゃねえんだよ。本物なだけなんだよ!」。そんな叫びとともに鳴らされた“PEAK’D YELLOW”でここまででいちばんデカかったかもしれない大シンガロングを巻き起こすと、橋本も関もフロアに下りて鳴らした“QUATTRO YOUTH”を歌い終えて橋本がつぶやく。「あー、また今日も本物になっちまったぜ!」。
その後、いきなりメンバー全員で楽器を持ち替えて“ファイト!!”を披露したり(完全にぶっつけ本番で、でもいい感じだった)しているうちに、ライブも終盤。“宇宙飛行士”、“アストロビスタ”とロマンティックな曲を立て続けに披露するなか、橋本は「めちゃくちゃいいな! バンド、組んでよかったし、好きでよかったわ」と感慨深げに語ってみせた。
“ヨーロービル、朝”で本編を終えたあと、アンコールで戻ってきたのは橋本ひとり。アコギの弾き語りで最新シングル『PEAK'D YELLOW』収録の“これさえあればいい”を歌う。音楽を作ること、それを歌うこと、そうやって生きていくことの意味を自問自答するような、限りなく孤独な曲が、そこに集った人々の声によってみんなのものになっていく。そんな感動的な光景を経て、ある意味でここからが彼ららしさ全開の「本番」だった。
1曲やるたびにステージを下りては戻ってきて、結局アンコールは全8曲。“みどり”以外はもうやった曲だったけど、改めて自由に鳴らされる“俺達が呼んでいる”や“エース”はみずみずしかった。最後は4人で再び“これさえあればいい”。橋本、関、須藤、小松、4人の歌が重なり、そこに観客の合唱が加わって、ハルカミライ幕張メッセワンマン「A CRATER」は終わった。「いつもどおり」をやりきるために、バンドはいつも以上の出力で思いと音をぶっ放し、それを受け取る側もいつも以上に感度を高くしてそれをキャッチする。そうやってできあがった最高の空間。そこには間違いなく、いつもハルカミライが音を鳴らしているライブハウスと同じように「永遠の花」が咲いていた。(小川智宏)