欠乏を焼べて船は行く

さユり『航海の唄』
発売中
SINGLE
さユり 航海の唄
カップリング曲もそれぞれ魅力的だが、最も重要なのはやはり表題曲だろう。メジャーデビューシングル曲“ミカヅキ”、1stフルアルバム『ミカヅキの航海』、そして“航海の唄”……という系譜がタイトルの時点で浮かび上がってくる。何かが欠けた自身のことを三日月と称し、満月を求めて出航した彼女が、今改めて歌う、航海の唄。しんと静まる夜の森を連想させるミステリアスなストリングスにバンドサウンドが重なっていく。そのなかで自身の存在を示すようにアコギを掻き鳴らし、歌声を張り上げるさユり。ギターやキーボードがのたうち回るなか、それでも揺らがない佇まい。サビに選ばれたのは《強さは要らない 何も持って無くていい 信じるそれだけでいい》という真正面からの言葉。月がいよいよ満ちたのかというと、きっとそうではない。むしろ変われないという強烈な自覚から来る確かな意志が歌われている。

また、米・ソニーミュージック傘下のメジャーレーベルよりWorld Edition EPが全世界へ配信され、さユりは世界デビューを果たした。そういった面も含め、新たな展開を予感させる。(蜂須賀ちなみ)
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