挑戦こそが人生だ

ライド『クラウズ・イン・ザ・ミラー(ディス・イズ・ノット・ア・セイフ・プレイス・リイマジンド・バイ・ペトル・アレクサンダー)』
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ALBUM
ライド クラウズ・イン・ザ・ミラー(ディス・イズ・ノット・ア・セイフ・プレイス・リイマジンド・バイ・ペトル・アレクサンダー)

ライドの最新作『ディス・イズ・ノット・ア・セイフ・プレイス』を、ロンドンを拠点とする二人組、ペトル・アレクサンダーがアンビエントに振り切った形で大胆かつ壮麗に再構築したのが本アルバム。それってライドのアルバムなのか?と思うところだが、これがライドのアルバムなのである。シューゲイザーの檻に囚われることなく多様な音楽的挑戦に実を結ばせた原作において、それでもサウンドに統一感を与えていたのが力強く成長したマーク・ガードナーの歌唱。本作においても、随所でエフェクトはかけられているものの、ボーカルを柱に据えた構成で各曲が創造されている。そのため、アルバム名が表す通り「皆に求められる過去の姿」の外へと踏み出した果敢なる原作の志向性を汲んだ上で、新たな解釈をもってそのポテンシャルを拡げるアプローチが施された作品であると感じられるのだ。一方で、もちろんペトル・アレクサンダーという才能も見逃せない。彼らは、2015年に惜しくも解散したノア・アンド・ザ・ホエールのバイオリニストであったトム・ホブデンと、カイザー・チーフストゥー・ドア・シネマ・クラブとの仕事で知られるプロデューサーのエリオット・ジェイムスからなるデュオ。インディ・ロック畑で活躍してきた彼らの経歴に鑑みれば、この二人にしても、このペトル・アレクサンダーの音楽性は新しい挑戦であるはず。だからこそ、ライドは彼らを選んだのではないだろうか。つまり、安住の地に留まり続けることを良しとしない挑戦者にだけ理解し合えるものがあったのだと思うのだ。名盤たる風格を備えていた原作を自由にさせる覚悟、大先輩の作品に大々的にメスを入れる覚悟。その双方の覚悟が、ひたすら静謐で美しいはずの本作に異様な迫力をもたらしている。 (長瀬昇)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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ライド クラウズ・イン・ザ・ミラー(ディス・イズ・ノット・ア・セイフ・プレイス・リイマジンド・バイ・ペトル・アレクサンダー) - 『rockin'on』2020年6月号『rockin'on』2020年6月号
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