続く日常、変わる明日

ヤユヨ『ヤユヨ』
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ヤユヨ ヤユヨ
《微睡みを終えた君を見た時/もうこの部屋に来ることはないかもしれない/と思ってしまった》という“さよなら前夜”で主人公に忍び寄る恋の終わり。あるいは《今度会ったら、キャッチボールしよう/子どもみたいにはしゃいで》(“今度会ったら”)という淡い約束。そしてすべてを乗り越えて《私が知らない今日は/なんか、いい日になりそう》(“いい日になりそう”)という新しい朝の気分。大阪出身の3人組ヤユヨの楽曲は、哀しいものも楽しいものも含めて明日への「予感」に満ちている。昨日までとは違う今日がはじまる、今日とは違う明日がやってくる――淡々と続いていく日常が少しずつ変わっていくその瞬間をリコ(Vo・G)の歌詞はつぶさに捉える。そしてその言葉がリコとぺっぺ(G・Cho)ふたりのソングライターが書く好対照なコードに乗って物語になっていく。傷まみれだろうが、根拠がなかろうが、乱暴にいってしまえばそれ自体がひとつの希望だと思う。《そのうち長い七月も過ぎ/流れていくように靡く》(“七月”)――いつか必ず出会う未来で、ヤユヨのロックは鳴り響いている。(小川智宏)

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