「生命」そのもの。血が流れる音楽

銀杏BOYZ『ねえみんな大好きだよ』
2020年10月21日発売
ALBUM
1曲目から流血覚悟でぶつかってくるようなハードコアな衝撃にやられ、生身の人間の「生命」そのもののような歌が、こちらの心臓にも血を流せと訴えかけてくるみたいだ。約6年半ぶりのフルアルバムが、これほど凄まじい衝動に満ち溢れたものになるとは。新録曲として収録された、銀杏流ウォールオブサウンド“骨”も、原曲よりアップテンポで焦燥感を煽るアレンジの“エンジェルベイビー”も、心の奥深くを直接揺さぶるかのように、よりピュアで切実な歌となって立ち現れた。15年ぶりにYUKIとの共演が実現した“恋は永遠 feat.YUKI”で響かせるロマンチックなマージービートにも胸が熱くなる。そして何より強く胸を打つのがピアノにDr.kyOnを迎えた“生きたい”の新録だ。まるで懺悔のような切実さと、それこそ血が流れるような生々しさで、聴く者の心に言葉を刻む。悲しみや諦めの中に隠れている微かな希望を、なんとか失わないようにと見つめる切実さが、演奏と歌唱に溢れ、《そうやって生まれた罪をこうやって抱きしめるんです。》と歌うエンディングはまさに峯田和伸のリアルだ。(杉浦美恵)