《月》や《魔法》、《影》といった刹那的なモチーフを用いて、失恋した女性の胸のうちに渦巻く空虚感や孤独感、虚勢などを描く。「秋」と「恋」という、ふたつの感傷性がそっと身を寄せ合うような詞世界は、リアリティを宿しながらも、どこか幻想的だ。それは演奏の妙も大きく影響しており、涙や枯葉、雪といったはらはらと落ちていくイメージを与えるギターのアルペジオ、澄んだ空気を音へと昇華したような透明感のあるストリングス、感情の機微を感じさせるピアノ、それらの音色をエスコートするように展開してゆくリズム隊と、やおら奏でられるすべての音が声にならない想いを優しく照らすよう。それは秋の夜長に美しく静謐に浮かび上がる月そのものと言っても過言ではない。ならばたおやかなメロディに乗る言葉たちは星だろうか。この曲とともに夜空を見上げ、過去に想いを馳せるのも趣深い。(沖さやこ)
秋の夜空と恋心
indigo la End『フラれてみたんだよ』
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《月》や《魔法》、《影》といった刹那的なモチーフを用いて、失恋した女性の胸のうちに渦巻く空虚感や孤独感、虚勢などを描く。「秋」と「恋」という、ふたつの感傷性がそっと身を寄せ合うような詞世界は、リアリティを宿しながらも、どこか幻想的だ。それは演奏の妙も大きく影響しており、涙や枯葉、雪といったはらはらと落ちていくイメージを与えるギターのアルペジオ、澄んだ空気を音へと昇華したような透明感のあるストリングス、感情の機微を感じさせるピアノ、それらの音色をエスコートするように展開してゆくリズム隊と、やおら奏でられるすべての音が声にならない想いを優しく照らすよう。それは秋の夜長に美しく静謐に浮かび上がる月そのものと言っても過言ではない。ならばたおやかなメロディに乗る言葉たちは星だろうか。この曲とともに夜空を見上げ、過去に想いを馳せるのも趣深い。(沖さやこ)