「レッド、ホワイト&ブルース・トリロジー」と名づけられた新編成ベスト3部作の第2弾。第1弾『ザ・ロック・アルバム』と同じく、リマスター、リミックス、新アレンジによって全曲が生まれ変わっている。タイトル通り「ラヴ・ソングス」が集められ、ロックな曲も含まれているものの、当然、バラード系の作品が多くを占めている。
ホワイトスネイクは、イギリスで人気を得ていた初期とアメリカでのブレイク以後ではメンバーがガラッと入れ替わり、まるで別のバンドになった。ソウルフルなボーカルでハーモニーを重視したハード・ロックから、硬質なギターでパワフルなシャウトも聴かせる華やかなヘヴィ・メタルへと脱皮したのだ。今回のベスト3部作は変身した後を対象にしており、『ラヴ・ソングス』では1987-2011年のアルバムから選曲されている。また、デイヴィッド・カヴァデールのサード・ソロ『イントゥ・ザ・ライト』セッション時の未発表3曲も収録。ホワイトスネイクが、ある時期から実質的にボーカルである彼のプロジェクトになったことを裏づける内容になっている。
ベスト3部作の締めくくりには『ザ・ブルース・アルバム』が予定されており、カヴァデールが初期から得意にしたブルース色の強いまったりしたナンバーが、そちらに回されたせいもあるだろう。『ラヴ・ソングス』収録のバラードは、大らかで、わりとさらりとしたアレンジのものが選ばれている。初期にはなかった作曲のその新境地を開いたのが、出世作『白蛇の紋章~サーペンス・アルバス』からのヒット曲“イズ・ディス・ラヴ”だった。今回、あらためてそれを確認した。メタル路線とこの種のバラードを選択したことが、バンドの成功につながったのだった。(遠藤利明)
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