30年以上に及ぶキャリアに聳える新たなる金字塔。それが本作である。インストでは、各楽器にド派手な見せ場が設けられた高速スカ“Great Conjunction 2020”や、アイナ・ジ・エンドのアジテートと共に天上無しに興奮の渦を巻きあげていく“JUMON”、チルなムードから一気にメタル～ハードコアまで振り切れる“This Is My Life”など、アグレッシブかつ超個性的な楽曲群の魅力が際立っている。また歌モノにおいても、川上洋平を迎えた“ALMIGHTY～仮面の約束”のようなアンセミックな楽曲から、パンキッシュに疾走する“9”、極めつけは本作の白眉、変則エレクトロニカとスカを混交したトラックに捩れつつもポップな歌が乗せられる長谷川白紙との共作による発明品“会いたいね｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡”まで、見事に個々が異なる方向に突き抜け切っているのだ。しかし、それでいてとっ散らかるどころか、これまで彼らが領域を押し広げ続けてきたスカが重心に据えられることにより、全体像としては全パラメーターがはみ出しつつも奇跡的なバランスを保った多角形が描き出されている。文句無し、破格の傑作だ。（長瀬昇）

『ROCKIN'ON JAPAN』4月号より