2月の日本武道館ワンマン「ぼくらのASOVIVA」で、「思い出」をキーワードに展開したライブの最後に《思い出にされるくらいなら二度とあなたに歌わないよ》とぶち上げた新曲がこの“名悪役”だった。《演じてやったんだ》《愛してやったんだ》とシニカルに突き放すような歌い回しが実は、「今」が「思い出」になる瞬間すらも追い越すくらいの加速度と熱量を夢想する
フレデリックの覚悟のマニフェストだった――ということが、リアルかつドラマチックに伝わってくる。
楽曲自体が持つアグレッシブな訴求力を、4分弱の尺の中でメンバー4人それぞれが骨の髄まで楽しみ尽くそうとするかのような、変幻自在なアイデアとクリエイティビティ。極彩色のポップスペクタクルの中に一抹のダークヒーロー感すら忍ばせながら、《このまま僕は曖昧な最終回なんて過ごしたくはないよ》と等身大の闘志を滲ませる三原康司。そんなリリックはそのまま、困難な時代の真っ只中にロックの殿堂・武道館を至上の「遊び場」に変えてみせた挑戦精神の「その先」を指し示すフレデリックの、僕らの希望そのものだ。(高橋智樹)
『ROCKIN'ON JAPAN』6月号より