人気ボカロPであり、ずとまよの“秒針を噛む”の作曲・アレンジを手掛けたことで知られるぬゆりのソロプロジェクトLanndoの新曲はEveとヨルシカのsuisを迎えた“宇宙の季節”。Eveとヨルシカというと、suisを迎えて制作されたEveのコラボレーションシングル“平行線”で相性のよさは実証済みであり、そこにぬゆりが加わるということで、このうえなく期待が高まる。

情緒をはらんだsuisの歌声と伸びやかなEveの歌声、各ソロパートで表情の対比を味わいつつ、ふたりの歌声を引き立たせるようにひそやかに鳴っていた粒子のようなトラックが一気に爆発し、《春が来て裸足になってしまいたい僕ら／砕けそうなほど手を握り／夜がまた日差しになって町並みを襲う／ここじゃない何処かへ逃げたいだけ》という焦燥が歌われる。そして、ふたりのファルセットがかわるがわる押し寄せるエモーショナルな大サビへ。ネットシーン出身のぬゆりとEve、そして物語を求める時代における物語の歌い手suis。時代と強く共振する3者のクリエイションが相違なく相乗効果をもたらしている。（小松香里）

『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より