副音声が聴きたいので、買います

ずっと真夜中でいいのに。『CLEANING LABO「温れ落ち度」』
発売中
Blu-ray
コロナ禍における有観客ライブには、感染症対策として色々と物理的な制限が設けられている。これまでのライブのようにはいかない。しかし、だからと言って表現者たちは「ベストのライブができない」とは考えないのではないだろうか。一期一会のライブで、オーディエンスと最高の体験を共有したいと願っているのではないだろうか。幾度もの延期を重ねてタイトルが変更され、2021年5月に繰り広げられたライブ。2日間4公演の最後のステージがパッケージ化されたわけだが、「温れ落ち度」のオーディエンスは間違いなく、史上最高のずっと真夜中でいいのに。に触れたと思う。洗濯機が並ぶステージに、ストリングスやパーカッションやオープンリールや布団叩きや新聞紙を裂く音が鳴り響き、観客席には無数のしゃもじが揺れる。それが途方もなく美しく楽しいポップミュージック体験だなんて、誰が信じられるだろうか。でも、体験した人は恐らく全員が信じている。ライブとはそういうものである。当時の最新曲“あいつら全員同窓会”が、ACAねのメッセージを全回収して鳴り響く様はあまりに感動的だ。(小池宏和)