元々ライブアルバムでデビューしたという経緯もあって、本来であれば最高にエキサイティングな季節となるはずだったその後のTHE KEBABSのライブ活動は、コロナ禍にケチをつけられる格好となった。しかしこの2021年、彼らはYouTubeライブ配信と連動したデモCDのリリース企画「月刊 THE KEBABS」を繰り広げながら、積極的に楽曲制作を行ってこのセカンドアルバム発表へと漕ぎ着けた。メンバーが個々にも活動するスーパーグループなのに、漲り、滾りまくっている。つまり、彼らはこのコロナ禍をバネにして、作品を制作する→ライブツアーをする→新作制作に向かう、というロックバンドのルーティーンを書き換えてしまったのである。リスナーと緊密な関係を築きながらバンドをドライブさせて生み出された本作には、THE KEBABSのスキルに裏打ちされたご機嫌なサウンドに加えて、ロックの奔放さも傲岸不遜さも情けなさも丸ごと正直に曝け出した人間の温もりが横たわっている。やたら正直な演奏クレジットも楽しいので、ぜひ触れてほしい。本作を携え、彼らはホールツアーへと赴く。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』12月号より