「“三原色”や“大正浪漫”など収録曲すべてが2021年のタイアップ曲」という作品概要以上に、何よりここに収められた楽曲自身が、超高精細型ポップスタンダード＝YOASOBIの真価を証明している2ndEP。「YOASOBI with ミドリーズ」名義の“ツバメ”、今回が音源初収録となる舞台テーマソング“もしも命が描けたら”も含む全8曲。人生の光も影もハイパーな音の色彩へ昇華していく、Ayaseの楽曲とサウンドメイキング。軽快な超速シンコペーションも情感豊かな歌い回しも、常に伸びやかな先進性と包容力とともに響くikuraのボーカルワーク。歌謡からボカロまで日本のポップスの系譜すべてを受け止め「今」と「これから」に向けて咲き誇らせる――そんな懐の深さと可能性を、今作の8つの楽曲は確かに物語っている。

初楽曲“夜に駆ける”からわずか2年で日本のポップの常識と概念を刷新しアップデートしたYOASOBI。「小説を音楽にするユニット」というコンセプトを掲げて始まったふたりの音楽はすでに、僕らの生きる日常の風景すべてを歌で輝かせる至上の魔法そのものだ。（高橋智樹）

『ROCKIN'ON JAPAN』1月号より