希代のストーリーテラーのすごさ

amazarashi『境界線』
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SINGLE
amazarashi 境界線
表題曲“境界線”は、秋田ひろむの熱を帯びた歌から始まり、厚みのあるバンドサウンドといい、スコーンと抜けるサビといい、晴れやかな闘志が宿った歌といい、明確に起承転結が描かれた歌詞といい、まっすぐにど真ん中を射抜く曲だ。諦観や後悔や苦悩が渦巻きながらも、人と人とを隔てる境界線で必死に希望をつかもうとする。過酷な戦いに身を投じる少年少女たちを描いたアニメ『86―エイティシックス―』第2クールのオープニング曲となっている。

3曲目にはインディーズ時代の名曲“少年少女”を新たにレコーディングした音源が収められており、ポエトリーリーディングから始まり、スポークンワードのようなボーカリゼーションでもって、僕、大好きなあの子、馬鹿だったあいつら……かつて少年だった「僕」を取り巻く様々な少年少女たちの物語を重層的に紡いでいく。ノンフィクションの要素が強いと思われるが、「僕」にまつわる連帯と闘志を描いた最新の“境界線”と比べても、秋田ひろむの物語の構築力は黎明期から凄まじかったのだと、改めて思い知る。(小松香里)

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