熟成された音が浮かべる様々な表情

Panorama Panama Town『Faces』
発売中
MINI ALBUM
Panorama Panama Town Faces
4月にリリースされたEP『Rolling』に続き、彼らの根本にあるギターロックへの敬愛が様々な形で表現されている。最も色濃く香るのは00年代頃のガレージロックリバイバル的なテイストだが、どうにもこうにも吐き出さずにはいられない想いをビートに託して言葉を溢れ返らせた結果、時折どこかヒップホップ的なスタイルになるのがPanorama Panama Town流のサウンドの響かせ方だと改めて感じた。たとえば“Faceless”は薄っぺらいカテゴライズ、わかっている風の言葉によって本質が乱雑に削ぎ落とされてしまうことへの苛立ちが、ギラギラした言葉の放射を通して伝わってくる。《決めつけちまうよりためらい尽くせ》というフレーズに深く頷かずにはいられないリスナーがたくさんいると思う。そして、このような作風の一方で、FODドラマ『ギヴン』主題歌の“Strange Days”、同作の劇中バンドの曲である“Melody Lane”のセルフカバーなどで瑞々しい作風が開花しているのも聴きどころだ。ハードボイルドなフィーリングと表裏一体であるロマンチシズムが今作には自然な形で刻まれている。(田中大)

公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする