伝説を掲げられるリアリティ

a flood of circle『伝説の夜を君と』
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ALBUM
a flood of circle 伝説の夜を君と
『伝説の夜を君と』というタイトルからは、自分たち自身が自分たちに期待し続けているというハードルの高さや、こう言い切れるロックバンドってすごいだろ?という痛快さが感じられる。そして、そのスケール感に似合う物語が、収録されている全13曲からは聴こえる。結成15年、自分たちはここまでの場所に到達して、だけど苦悩していて、それでも走り続けるんだ、という。彼らは、そのすべてをロックンロールに変換することができるスキルを手に入れたのだと思った。

泥臭いほどロックンロールの魂を守りながら、時代やジャンルを超えた音楽を吸収して、愛するロックンロールを拡張していく。しかも踊りながら、楽しみながら。そんなAFOCの姿勢を、近年とても頼もしく感じていたのだけれど、それが今回、きらめく“北極星のメロディー”という名曲に結実し、正しい方角を焼きつけることとなった。一方で裏名曲と言えるのが、《もう疲れたんだ》とピアノに乗せて独白する“白状”。この表裏一体のリアリティがあるから、今作を『伝説~』と名づけるに相応しいと信じられるのだと思う。愛すべき傑作。(高橋美穂)

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