「雨も踊り出す熱いグルーヴ」というコンセプトを掲げた、結成23年目にして初めてのEP。この書き出しだけでも、果敢に挑戦を続けているバンドということが伝わるのではないだろうか。さらに、その挑戦は音楽的な進化となって楽曲に落とし込まれている。アコースティックな“Cloudy Heart”、棘と切なさをはらむ“Skelter”、輪になって踊りたくなる“A World Song”など、様々な角度からコンセプトを捉えた、バラエティに富んだ全6曲が収録されているのだ。もともと、メロディックパンクのみならず、ロックを掘り下げることに貪欲だった彼らの方向性が、年齢や技術と噛み合ってきたのかもしれない。グッと優しく滑らかになったアカマトシノリ（Vo・B）の歌声を筆頭に、シンプルにして豊潤な3ピースの魅力も体現していると思う。

彼らがずっと歌い続けている《人生を笑え》（“Laugh at life”）という一節。私自身、この歌にことあるごとに背中を押されてきたけれど、今作にも、その精神性は生きている。泥臭さをキラーフレーズに変えられる実力が、コンセプトによって引き出された快作。（高橋美穂）

『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より