昨年のベストアルバム『egomaniac feedback』で斎藤宏介（UNISON SQUARE GARDEN）、milet、阿部芙蓉美らとのコラボを披露したTK from 凛として時雨が新たにフィーチャーしたのは、日本のロックの象徴的存在でもあるB'z・稲葉浩志！ ワイルドな音色のリフと獰猛なバンドサウンドが繰り広げる、アリーナ級のロックのカオス。稲葉＆TKの絶唱が獰猛にせめぎ合い絡み合いながら、ひたむきに灼熱の狂騒の頂を目指す、破格のスリル――。ロックというアートはどれだけ巨大な熱量とダイナミズムを描き出せるのか？という命題への渾身の回答の如く、“As long as I love”の音像は聴く者の頭と心に抗い難く迫る。

一方“Scratch”では、ピアノとストリングスが織り成す壮麗なサウンドスケープの中、《堕ちていくのさ「永遠」の罠に／僕らは波に飲み込まれて》というTKの背徳的なリリックが、稲葉のハイエナジーなボーカルによってドラマチックな生命力を立ち昇らせる。闇を見据え光を描く表現者・TKの核心が、稲葉浩志という歌の化身との化学変化で明快に浮き彫りになった、珠玉の響演。（高橋智樹）

『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より