収録されたのはメジャー1stアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』の初回盤だが、個人的にこの曲を初めて聴いたのは、そしていちばんこの曲を聴いたのは、そのアルバムが出る前からYouTubeに上がっていた尾崎世界観による弾き語りの動画だった。さっき久しぶりに観ようと思って検索をかけてみたが、どうやら当時の動画はもう消えているようだった。代わりに、多くのカバー動画が上がっていた。尾崎と同世代の私は、麻美ゆまの作品も柚木ティナの作品も（Rio名義も含めて）随分観たが、YouTubeにカバーを上げている若い彼らはもはやAVを観たことがないかもしれない。知らないけど。それでも、この曲から伝わるものはたくさんあるということだし、歌とはそういうものだということだ。

4月18日のメジャーデビュー10周年記念日にバンド録音と尾崎による弾き語りの2バージョンが同時に配信リリースされた。バンドによる再録はヨルシカのn-bunaをリアレンジャーに迎えている。n-bunaらしい緻密な、それでいてこの曲が欲する全体の抑揚と手触りも捉えた見事なアレンジである。（天野史彬）

『ROCKIN'ON JAPAN』6月号より